第361章 椎名佳樹が目覚めた(1)

しかし十五分ほどで、車は椎名佳樹のいる病院に到着した。

椎名一聡と赤嶺絹代は忙しいのか、まだ来ていなかった。来栖季雄と椎名佳樹は以前から仲が良かったので、鈴木和香が彼も一緒に上がって佳樹を見に行かないかと提案した時、来栖季雄は少し考えてから頷いた。そして車を椎名佳樹の病室の下の駐車場に停め、施錠してから鈴木和香と一緒に車を降り、中に入った。

椎名佳樹の看護師は一階のロビーで鈴木和香を待っていた。彼女が入ってくるのを見ると、すぐに上の階へと案内し、歩きながら椎名佳樹が目覚めた経緯を説明した。「今日の夜、だいたい六時頃に椎名様が動き始めました。前回動いてから毎日少しずつ動いていたのですが、今晩は特に頻繁でした。その時はあまり気にしていなかったのですが、私がちょうどトイレに行って戻ってきたら、椎名様が目を開けていたんです…」