第387章 私のどこが気に入らないの?(17)

鈴木和香は来栖季雄の顔を見る勇気がなく、ただうつむいたまま、長い髪で自分の顔を隠していた。

何度も目が熱くなりそうになったが、その度に押し殺してきた。髪が乾くまで待ち、深く息を吸い込んでから、髪を適当に結び、普段通りの声で言った。「千代田おばさんに晩ご飯ができたか見てきます」

そう言って寝室を出た。

鈴木和香がキッチンに行くと、千代田おばさんは既に料理を作り終えていて、強火でスープを煮込んでいた。鍋からはぐつぐつと音が聞こえ、千代田おばさんはゴミ箱の前でしゃがみ、にんにくの皮を剥いていた。和香が来るのを見ると、すぐに声をかけた。「奥様、もうすぐ晩ご飯の用意ができますので、来栖社長に手を洗って来ていただくようお伝えください」

鈴木和香は軽く頷き、コンロの前に歩み寄って、首を伸ばしてスープを覗き込んだ。スペアリブとコーンが見えているのに、あえて尋ねた。「何のスープですか?」