第389章 私のどこが気に入らないの?(19)

彼は彼女の子供を奪ったことで、申し訳なく思い、罪悪感を感じていたから、そんなに優しくしてくれていたのだろうか?

でも、この何日もの間、彼女は彼の優しさに甘えて、幸せを感じていた……さらには、彼が自分に好意を持ってくれたと思い込み、二人の未来に期待を抱いていた……今になってようやく分かった。この幸せの裏には、一つの命が犠牲になっていたのだと!

涙で鈴木和香の視界が完全に曇った。彼女は手を上げ、そっと顔を拭うと、急いで来栖季雄に背を向け、涙は止めどなく流れ続けた。

心の底では来栖季雄に真実を問いただしたかったが、結局彼を起こして尋ねる勇気は出なかった。

事実が目の前に突きつけられ、逃げられない状況であっても、彼女はまだ向き合いたくなかった。というより、受け入れることができなかった。

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鈴木和香は一晩中よく眠れず、翌日夜が明けるとすぐにベッドから起き上がった。来栖季雄はまだ深い眠りについていた。彼女は彼を起こさず、しばらく寝顔を見つめただけで、静かにバスルームに入り、身支度を整え、更衣室でシンプルで上品なレモンイエローのワンピースを着て、バッグを持って寝室を出た。

千代田おばさんはまだ目覚めておらず、1階の広々としたリビングは特に静かだった。壁のライトはまだついており、その黄色みがかった光は、窗の外からの明るさに少し薄れていた。

鈴木和香は携帯を手に、まず配車サービスを呼び、それから靴を履き替えて外に出た。

朝の空気は非常に新鮮で、庭の花は一晩で多く咲いていた。一本のバラが木の棒で歪んでいるのを見つけ、鈴木和香は近寄って棒を拾い上げ、その花を正しい位置に直してから庭を出た。呼んでいたタクシーは既に門の前で待っており、鈴木和香は乗り込んで市立総合病院まで行くよう告げた。

まだ朝のラッシュ時間前で、東京の通りはガランとしていて、静かに見えた。通りの両側の店舗のネオンサインは既に消え、一定の間隔でオレンジ色の制服を着た清掃員が掃除をしていた。

車が市立総合病院の入り口に停まると、鈴木和香は料金を支払い、降車して直接産婦人科へ向かった。診察券を取り、約30分待って順番が回ってきた。医師に会うと、すぐにエコー検査を希望し、さらに1時間半待って、ようやく検査室に入った。