第385章 私のどこが気に入らないの?(15)

タクシーは市立総合病院の玄関前で停車し、来栖季雄は料金を支払い、鈴木和香を抱きかかえて降り、病院の中へ歩いて入っていった。

鈴木和香は5時間ぶりに訪れた市立総合病院を見つめながら、あの女性看護師が今日は彼女の再検査の日だと告げたことを思い出し、心の中で言い表せない不安を感じ始めた。

以前、鈴木和香が撮影現場で事故に遭った時も、来栖季雄は彼女を病院に連れて来て、全身検査を受けさせた。今回も同じように、来栖季雄の表情からは普段と変わった様子は見られなかった。

午後の病院は午前中に比べて少し空いていた。来栖季雄は彼女を休憩用の椅子に座らせ、一人で受付に並びに行った。受付の手続き中、彼が携帯電話で誰かに電話をかけているのが見えた。病院のロビーは騒がしく、彼の口の動きも見えなかったため、誰と話しているのかわからなかったが、なぜか気になって落ち着かなかった。