第384章 私のどこが気に入らないの?(14)

車内はエアコンが効いていて、来栖季雄は鈴木和香が寝ている間に寒くなるのを心配し、傍らから毛布を取って彼女の体にかけた。

鈴木和香は来栖季雄が近づいてくるのを感じ、全身が硬直し、手を握りしめた。来栖季雄が離れるまでそのままで、やっと緊張が解けた。しばらくして、来栖季雄が運転手の助手に向かって「エアコンを弱めて」と言う声が聞こえた。

鈴木和香は心の中で疑念を抱きながらも、来栖季雄のこのような思いやりある行動に、自分を欺き始めていた。

こんなにも細やかに彼女のことを気遣う来栖季雄が、どうして彼女の子供を無慈悲に堕ろすことができるだろうか?しかも、その子は彼の子供なのに。虎でさえ我が子は食わないというのに、来栖季雄がどんなに冷たい性格で、彼女が愛する女性でなくなったとしても、そこまで残酷なはずがない……