第401章 さようなら青春、さようなら私の恋(11)

翌朝早く目が覚めると、鈴木和香は窓の外の天気がひどく悪く、スモッグが濃く、街全体がベールに包まれているのを見た。馬場萌子は既に荷物をまとめ終え、ホテルのスタッフが荷物を車に運び入れるのを手伝っていた。出発前に、和香は特別に撮影現場に立ち寄り、最後のシーンを撮影中の監督、田中大翔、松本雫、そして他のスタッフ一人一人に別れを告げた。

最初はどのような形でこの撮影チームに加わったにせよ、また誰のシーンが多いとか少ないとかで揉め事があったにせよ、別れの時を迎えた今、当時は大事に思えた恨みや怨みも、今となってはどうでもいいことのように思えた。みんな三ヶ月以上にわたる昼夜を共にした撮影生活に対して、抱擁を交わし祝福の言葉を贈り合った。

和香は決して感傷的な性格ではないと思っていたが、みんなと別れを告げる時、やはり目が潤んでしまった。