彼は自分の呼吸が荒くなり、体温が上がり始めるのを感じた。
吐く息さえも熱くなってきた。
二人が今どこにいるのかよく分からなかったが、周りの環境の温度がどんどん上がっていくように感じた……
体内の欲望は増していき、彼の動きは少し大胆で思いのままになっていった。そして彼女は抵抗せず、従順で素直に、彼に懸命に応えているようだった。
なんて素敵な夢だろう……来栖季雄の息遣いが乱れ始め、最後の瞬間に何かを思い出したかのように、突然動きを止めた。
いけない……今の彼と彼女はもう関係がない。椎名佳樹が目を覚まし、彼女の好きな男が目覚め、二人は再び一緒になった。もう彼女にこんなことをしてはいけない……たとえ夢の中でも、彼女にこんなことをしてはいけない……
来栖季雄の呼吸は荒くなり、彼は拳を強く握りしめ、必死に衝動を抑えつけた。彼は自分を抑制し、少しずつ彼女の体から離れ、ただ彼女をしっかりと抱きしめた。我慢のせいで、彼の額には汗が浮かんでいた。
-
翌朝、鈴木和香は鳥のさえずりで目を覚ました。目を開けると、しばらく茫然と洞窟の何もない天井を見つめていたが、突然藁の上から飛び起きた。振り向くと、隣には誰もおらず、いつの間にか消えた焚き火は黒い灰を残すのみで、脱いでいた服は既に体に着せられていた。
来栖季雄が着せてくれたのだろうか?でも彼はどこへ行ったのだろう?
和香は少し乱れた服を整えようとしたが、鎖骨の下にキスマークがついているのに気づき、昨夜うとうとしていた時に起きたことを思い出し、顔が真っ赤になった。
あれは夢ではなかったのだ、本当のことだった……ただ、途中で来栖季雄が何故か止めてしまったのだけれど……
「目が覚めたか?」洞窟の入り口から突然来栖季雄の声が聞こえた。
鈴木和香は急いで回想から我に返り、振り向くと、来栖季雄が昨夜食べた野生の果物をたくさん持って入ってくるのが見えた。
鈴木和香は来栖季雄が目の前に置いた果物を見て、一つ取って一口かじり、何か思い出したように、傍らで果物を食べている来栖季雄に尋ねた。「熱は下がりましたか?」
来栖季雄は口の中のものを飲み込んで言った。「下がった。」
少し間を置いて、彼は付け加えた。「昨夜はありがとう。」