第486章 婚約解消(6)

鈴木夏美は立ち上がってドアを開けると、赤嶺絹代の姿を見て、笑顔で「椎名おばさん」と呼びかけました。

赤嶺絹代は鈴木夏美に一切目もくれず、靴も履き替えずに家の中に踏み込んできました。

鈴木旦那と鈴木夫人は赤嶺絹代のその様子を見て、何か異常を感じ取り、二人は目を合わせました。鈴木夫人は笑みを浮かべながら立ち上がり、「絹代、どうしたの?そんなに怒って」と声をかけました。

赤嶺絹代は一言も発せず、手に持っていた写真をテーブルに叩きつけました。

鈴木旦那と鈴木夫人は一瞬驚き、それぞれ一枚ずつ写真を手に取りました。写真に写っているものを見て、二人の表情は一気に曇りました。

しばらくして、鈴木旦那が「絹代、これは何か誤解があるのかもしれない」と言いました。

「誤解?私も誤解であってほしいわ。でもこの写真を見てください。これが誤解だと言えますか?今や東京都のビジネス界全体がこのことを知っているのよ。あなたの鈴木家の娘が、私たちの椎名家に大きな恥をかかせたのよ!きっと皆が裏で息子の季雄のことを笑い者にしているでしょうね!」怒りのあまり、赤嶺絹代の言葉は非常に辛辣でした。