鈴木和香は電話を切り、金色宮で一人狂ったように歌っている鈴木夏美のことが気になり、服を着替えて財布を持って出かけた。
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鈴木和香は金色宮のフロントで鈴木夏美の名前を告げると、従業員が鈴木夏美のいる個室まで案内してくれた。個室のドアの前に着くと、中から鈴木夏美の心を引き裂くような歌声が聞こえてきた。
鈴木和香が個室のドアを開けると、鈴木夏美がテーブルの上に立ち、頭を上げて声を張り上げていた。周りには空き瓶が散らばっていた。
鈴木和香はドアを閉め、鈴木夏美の側まで駆け寄り、手を伸ばしてテーブルから引きずり下ろした。「夏美、気が狂ったの?」
鈴木夏美は鈴木和香を見つめながら、まだ歌い続けていた。歌っているうちに涙が流れ始め、最後にはマイクを握ったまま地面に蹲り、声を上げて泣き始めた。