第499章 婚約破棄(19)

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午前十時から午後五時まで、来栖季雄はようやく少しの隙間を見つけ出し、人気のない場所で一本のタバコを吸って、一息つくことができた。

タバコを半分吸ったところで、来栖季雄はスマートフォンを取り出し、しばらく眺めた後、鈴木和香のWeChatを開いて、メッセージを返そうとした……

鈴木夏美の言う通りだった。彼と鈴木和香の関係が親密になればなるほど、曖昧になればなるほど、鈴木和香が受ける傷は大きくなる。

彼は自分勝手すぎた。彼女に近づきたかったが、こんなに大きな問題を引き起こしてしまった。

前回は流産、そして今回は名誉を失うことになるのか?

愛の名の下に、彼女を何度も傷つけ続けることはできない。

来栖季雄はそう考えると、最後にスマートフォンをしまい、強くタバコを一服吸った。煙の輪をまだ吐き出していないうちに、秘書が現れ、「来栖社長、そろそろ出発の時間です。夕食会が始まります」と告げた。