前方の交差点に着いたとき、来栖季雄は突然茫然として、どこへ行けばいいのか分からなくなった。
彼は今また一人になってしまった。
父親は彼を拒み、母親は他界し、そして愛する女性は、たった今彼のもとを去った。彼はまた以前のような、一人きりの日々に戻ってしまった。
長らく感じることのなかった孤独感が、一瞬にして彼を包み込んだ。
来栖季雄は目的もなく車を走らせ、どれほどの時間が経ったか分からないまま、最後には桜花苑に戻っていた。
陽光に照らされた白壁と赤瓦の別荘は、とりわけ美しく見えた。彼は車を停め、家の中に入り、普段と変わらない部屋を見回したが、異常なほど空虚に感じられた。ダイニングのドアが開いていて、彼女が作った朝食がまだテーブルの上に置かれたまま、片付けられていないのが見えた。彼女と朝食を共にした光景が、まるで目の前に浮かぶかのようだった。