第431章 彼の静かな寄り添い(18)

車は地下駐車場に停まり、椎名佳樹は車から降りて、そのままエレベーターのボタンを押し、入り口で松本雫が入るのを待ってから、自分も続いて入り、階数ボタンを押した。

エレベーターは上昇を続け、目的の階に到着すると、ドアが開いた。椎名佳樹は左側のドアの前まで歩き、暗証番号を入力してドアを開け、やはり松本雫が入るのを見届けてから、自分も入った。

椎名佳樹はドアを閉め、車のキーを玄関に投げ捨て、松本雫を二度見つめた。一言も発せず、突然手を上げると、彼女の顔に激しく平手打ちを食らわせた。

その一撃は予告もなく、力も強く、まったく防ぐ術もなかった松本雫は、その衝撃で一瞬にして床に倒れ込んだ。

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十一時になり、皆は解散した。

椎名佳樹は十時に個室を出て以来、二度と戻ってこなかった。