第546章 13年間愛してた(16)

今回、来栖季雄はただ一言だけ口を開いた。躊躇いや迷いもなく、シンプルで簡潔な一言だった。「はい」

鈴木和香は本当に、自分の質問一つ一つに対して、来栖季雄が否定してくれることを願っていた。彼が否定さえしてくれれば、たとえ先ほどドアの外で椎名佳樹の言葉を直接聞いていたとしても、無条件に彼を信じることができたはずだ。彼が否定さえすれば、今すべてのニュースが彼による椎名グループの買収を報じていても、知らないふりをすることができたはずだ。しかし、願いとは裏腹に、彼女が尋ねた三つの質問に対して、彼はすべて肯定的な答えを返した。さらに彼の表情は穏やかで、まるでこれらのことが当然のことであるかのようだった。

彼女は椎名グループを狙う者がいることは知っていたが、それが来栖季雄だとは全く考えていなかった。