第540章 13年間愛してた(10)

鈴木和香は美容院を出たとき、ショッピングモールのあちこちに七夕のプレゼントの広告が貼られているのを見ました。

時計を見ると、来栖季雄との夕食まであと6時間以上あります。暇だったので、4階の紳士フロアに行き、来栖季雄に七夕のプレゼントを選ぼうと思いました。

お金持ちでもそうでない人でも、七夕の過ごし方は同じです。食事をし、映画を見て、プレゼントを贈る。ただ違いは、お金持ちの方がより多くのお金を使うということだけです。

恋人や夫がいる女性は皆、鈴木和香と同じ気持ちで、愛する男性に七夕のプレゼントを選びに来ているのでしょう。そのため、ショッピングモールは特に混雑していて、見渡す限り、ほとんどが女性でした。

鈴木和香のように一人で来ている人もいれば、カップルで来ている人もいます。あるブランドショップの前を通りかかった時、二人の女の子が彼氏にどちらの服が似合うか話し合っているのを耳にしました。その時、和香は横を向いてその女の子を見ました。幸せに満ちた笑顔を浮かべている彼女を見て、自分の表情も同じように幸せに輝いているのかなと考えました。

鈴木和香はあれこれ選んだ末、来栖季雄にネクタイを選びました。

支払いの列は少し長く、和香は退屈していました。レジの上にテレビがあったので、顔を上げて見てみると、今日のニュースを放送していて、様々な出来事を伝えていました。和香の支払いの順番が近づいてきた時、後ろの二人が話している中に、見覚えのある人物の名前が出てきました。

「すごい!椎名グループがたった一週間足らずで経営陣が変わるなんて、想像もしていなかったわ」

「どういうこと?」

「ニュースを見てよ。椎名グループが株主総会を開いて、誰かが株式の53パーセントを買収して筆頭株主になったの。椎名一聡会長と赤嶺絹代副会長の職を直接解任したんだって……」

「誰が買収したの?」

「ニュースには書いてないわ……あ、新しいニュースが出たわ……買収したのは環映メディアのCEO来栖季雄だって……」

「えっ!私の憧れの来栖スターが椎名グループを買収したの!」

……

来栖季雄が椎名グループを買収した?