第540章 13年間愛してた(10)

鈴木和香は美容院を出たとき、ショッピングモールのあちこちに七夕のプレゼントの広告が貼られているのを見ました。

時計を見ると、来栖季雄との夕食まであと6時間以上あります。暇だったので、4階の紳士フロアに行き、来栖季雄に七夕のプレゼントを選ぼうと思いました。

お金持ちでもそうでない人でも、七夕の過ごし方は同じです。食事をし、映画を見て、プレゼントを贈る。ただ違いは、お金持ちの方がより多くのお金を使うということだけです。

恋人や夫がいる女性は皆、鈴木和香と同じ気持ちで、愛する男性に七夕のプレゼントを選びに来ているのでしょう。そのため、ショッピングモールは特に混雑していて、見渡す限り、ほとんどが女性でした。

鈴木和香のように一人で来ている人もいれば、カップルで来ている人もいます。あるブランドショップの前を通りかかった時、二人の女の子が彼氏にどちらの服が似合うか話し合っているのを耳にしました。その時、和香は横を向いてその女の子を見ました。幸せに満ちた笑顔を浮かべている彼女を見て、自分の表情も同じように幸せに輝いているのかなと考えました。