第566章 13年間愛してた(36)

「和香、まだ生きていたの?来栖スターがあなたを必死で探していたのよ!」

鈴木和香は馬場萌子に「こんな遅くまでまだ起きているの?」と聞こうと思ったが、

「来栖スターがあなたを必死で探していた」という言葉を聞いた瞬間、iPadのキーボードを打っていた指が突然止まった。

馬場萌子は次々とボイスメッセージを送ってきたが、鈴木和香が聞く暇もないうちに、ビデオ通話をかけてきた。

鈴木和香が通話を受けると、iPadの画面越しに、パジャマ姿で大きな縁のメガネをかけた馬場萌子が興奮した様子で尋ねた。「和香、電話にも出ないし、一体どうしたの?」

「携帯が手元にないの……」

鈴木和香が言い始めたところで、馬場萌子は何か重要なことがあるかのように、彼女の言葉を遮った。「いいわ、いいわ、それは後でゆっくり話すとして、今は三つの重要なことを伝えなきゃ。一つ目は『神剣』が来週の水曜日に撮影再開すること、二つ目は来栖スターがずっとあなたを探していること、三つ目は昨日未明にスキャンダルに巻き込まれたことよ!」

馬場萌子は息もつかずに、鈴木和香が疑問を口にする間も与えず、一気に話し始めた。「和香、『傾城の恋』を撮影していた時の間宮明里っていう女優さんのこと覚えてる?田中大翔の秘書役を演じていた人よ。きれいで性格もよかった人。彼女が事件を起こして、あなたまで巻き込まれちゃったの……」

鈴木和香は眉をひそめた。「どうして私が巻き込まれるの?」