第552章 13年間愛してた(22)

来栖季雄について、椎名佳樹の気持ちは本当に複雑だった。

男というものは多かれ少なかれ衝動的で身内を庇う性質がある。椎名グループを奪われたと知った時、彼は来栖季雄に会いに行き、なぜそんなことをしたのか問いただそうとした。しかし環映メディアのビルの下に着いた時、電話を受け、母の投資と椎名グループの株式市場での出来事が全て彼の仕業だと知り、さらに母が怒りで気を失ったと聞いた時、骨の髄まで血が沸き立った。その時は言葉を選ばず怒りをぶつけ、来栖季雄との長年の兄弟の情もここで終わりだと思った。しかし、母と執事が彼の悪口を言い合っている時、やはり怒りを感じずにはいられなかった。

椎名佳樹の心に突然悲しみが込み上げてきた。来栖季雄があんなことをしたのに、まだ異母兄弟である彼への未練が残っている...椎名佳樹は手を上げて顔をこすり、唾を飲み込んで、力なく言った。「和香、母さんの側にいてやってくれ。さっきは言い過ぎた、今きっと辛いだろうから」