第553章 13年間愛してた(23)

鈴木和香はそこまで考えると、思わず携帯を取り出し、着信も電話もないのを見て、心の底から落ち込んでしまった。

彼女は本当に不注意だっただけなのに、彼はあんなに怒っていた。地下駐車場まで追いかけても、彼は彼女の説明を聞こうともせず、今になっても連絡をしてこない...まだ怒っているのだろうか?

十三年間愛してた仲で、やっとのことでバレンタインデーを過ごせるはずだったのに、このまま怒り続けていたら、今夜のディナーは台無しになってしまうのではないか?

鈴木和香はそこまで考えると、胸が詰まる思いになった。

確かに彼は午後、少し気が立っていたけれど、彼女も言葉を間違えてしまった。だから、彼女から先に謝って、和解を示してみようか...食事の時に、改めて彼になぜそうしたのか聞いてみよう。もし本当に両親の恨みが原因なら、彼を説得して、椎名佳樹に謝らせて、兄弟の仲を元に戻すことができるかもしれない...

そうしないと、本当に残念だ。一日中楽しみにしていた夕食が、こんな形でなくなってしまうなんて。

鈴木和香は考えながら、無意識に携帯を開いて来栖季雄の電話番号を探し、メッセージを作成し始めた。最初に「ねぇ」と打ったが、それでは誠意が足りないと思い、季雄が許してくれずにメッセージを無視するのではと心配になり、削除した。そして首を傾げて真剣に考え込み、隣にいる赤嶺絹代のことをすっかり忘れてしまった。

鈴木和香は約1分ほど考え込んでから、やっと言葉をまとめ、携帯を見下ろしながら打ち始めた:「午後は私が興奮しすぎてしまって、ごめんなさい。今夜食事に誘ってくれたよね、その時にちゃんと話し合いましょう。いいかな?私は今から家に帰って待ってます...」

「和香」

鈴木和香が「どう?」という言葉を打ち終える前に、赤嶺絹代が突然彼女の名前を呼んだ。

鈴木和香は上の空で返事をしながら、まだ携帯の画面を二、三回タップしていたが、そこで執事に腕を軽く叩かれ、はっと我に返って赤嶺絹代を見た:「椎名おばさん、どうかしましたか?」

「何でもないの、ただ喉が渇いたから、お水を持ってきてほしいなと思って。」赤嶺絹代は穏やかな表情で微笑んだ:「もし忙しかったら、先にそれを済ませて。吉江おばさんに頼むわ。」