鈴木和香はそこまで考えると、思わず携帯を取り出し、着信も電話もないのを見て、心の底から落ち込んでしまった。
彼女は本当に不注意だっただけなのに、彼はあんなに怒っていた。地下駐車場まで追いかけても、彼は彼女の説明を聞こうともせず、今になっても連絡をしてこない...まだ怒っているのだろうか?
十三年間愛してた仲で、やっとのことでバレンタインデーを過ごせるはずだったのに、このまま怒り続けていたら、今夜のディナーは台無しになってしまうのではないか?
鈴木和香はそこまで考えると、胸が詰まる思いになった。
確かに彼は午後、少し気が立っていたけれど、彼女も言葉を間違えてしまった。だから、彼女から先に謝って、和解を示してみようか...食事の時に、改めて彼になぜそうしたのか聞いてみよう。もし本当に両親の恨みが原因なら、彼を説得して、椎名佳樹に謝らせて、兄弟の仲を元に戻すことができるかもしれない...