青葉は郊外にあり、鈴木和香が環映メディアを出発して、着いたのは正午の十二時だった。
昼間とはいえ、青葉の別荘はまるで桃源郷のように、静かで心が安らぐほどだった。
来栖季雄は以前、鈴木和香に青葉別荘の暗証番号を教えていた。和香はインターホンを押したが、誰も出てこなかったので、暗証番号を入力して中に入った。
四方のガラス張りの窓により、別荘の中は特に明るく、周囲の森を通り抜けた陽光がガラス窓に当たり、キラキラと輝く丸い光の斑点を散りばめていた。
和香は円形の階段を上がり、寝室のドアの前へと直行した。
これまで誰もが季雄を見つけられない時、彼女はいつもここで彼を見つけることができた。
今回は……
和香はドアの前に立ち、心の底に言い表せない緊張が湧き上がった。深く息を吸い込んでから、震える手で寝室のドアを開けた。
寝室は明るく整然としており、ベッドのシーツは平らに整えられ、誰かが横たわった形跡は全くなかった。
まさか季雄は青葉別荘にもいないの?
和香は眉間にしわを寄せ、寝室に入って、クローゼットや浴室まで丁寧に確認してから、少し落胆して出てきた。
青葉の別荘は広かったが、部屋数は多くなかったため、各部屋の面積が広くなっていた。和香は季雄が他の部屋にいるかもしれないと思い、二階の部屋を一つずつ見て回った。
寝室以外の部屋は壁の内装だけで、棚やベッドもない状態だった。ただ、最も西側の部屋だけにグランドピアノが置かれ、その上には楽譜が置かれ、隣のテーブルには多くの紙が散らばっていた。和香が何気なく手に取ってみると、それらは一枚一枚の鉛筆画で、色は付いていなかったものの、明らかに自分を描いたものだとわかった。
彼女は眉間に驚きの色を浮かべ、それらの紙を一枚ずつ確認した。かなり昔のもののようで、何度も見返されたらしく、端が擦り切れていた。
紙には様々な彼女の姿が描かれており、着ているセーラー服から高校時代のものだとわかった。
後ろ姿あり、横顔あり、真剣に本を読む姿、机に伏して眠る姿、教室の窓の外を見つめる姿、自転車の前で微笑む姿など……
画用紙の右下には、注意深く見なければ気づかないような小さな文字で日付が書かれ、来栖季雄の署名と『私の愛する少女』というタイトルが添えられていた。