第572章 知られざる事(2)

青葉は郊外にあり、鈴木和香が環映メディアを出発して、着いたのは正午の十二時だった。

昼間とはいえ、青葉の別荘はまるで桃源郷のように、静かで心が安らぐほどだった。

来栖季雄は以前、鈴木和香に青葉別荘の暗証番号を教えていた。和香はインターホンを押したが、誰も出てこなかったので、暗証番号を入力して中に入った。

四方のガラス張りの窓により、別荘の中は特に明るく、周囲の森を通り抜けた陽光がガラス窓に当たり、キラキラと輝く丸い光の斑点を散りばめていた。

和香は円形の階段を上がり、寝室のドアの前へと直行した。

これまで誰もが季雄を見つけられない時、彼女はいつもここで彼を見つけることができた。

今回は……

和香はドアの前に立ち、心の底に言い表せない緊張が湧き上がった。深く息を吸い込んでから、震える手で寝室のドアを開けた。