第580章 知られざる事(10)

「あなたの子供は赤嶺絹代に殺されたのよ。信じられる?」

鈴木和香はこのニュースに呆然としたように、アシスタントの目を見つめ、その眼差しには衝撃と恐怖が満ちていた。

アシスタントは黙っていた。テラスは一瞬にして静寂に包まれ、かすかな夜風が吹き抜けていった。

約3分後、アシスタントは真実を語り始めた。「来栖社長があの夜私に電話をくださった時、あなたは意識不明の状態で、体内に少量の出血があり、最終的に医師から胎児死亡と診断されました。」

「当時は緊急を要する状況で、来栖社長にすぐに手術の同意書にサインしていただく必要がありました。サインが済んだ後、医師から来栖社長に、あなたが服用した睡眠薬に大量の安定剤が含まれており、それが胎児の死因だったと告げられました。」

「来栖社長がどのようにして赤嶺絹代からあなたに贈られた燕の巣に睡眠薬が入っていたと推測されたのかは分かりませんが、あなたが退院して自宅療養中の時、彼から電話があり、私に桜花苑に行くように指示がありました。そこで燕の巣の瓶を1本渡され、検査に出すように言われました。検査結果では、中に大量の睡眠薬成分が含まれていました。」