学生時代、来栖季雄が優等生だったとすれば、鈴木和香は落ちこぼれの部類に属していたに違いない。落ちこぼれながらも人並み以上の努力で1組に入り、A大学にも合格したのだが。
店主は来栖季雄に陶芸の作り方を一度教えただけで、彼はとても流暢に作れるようになった。一方、鈴木和香には何度も教えたのに、彼女は手順を時々忘れてしまう。
新しいお客さんが来たので、店主は他のお客さんの対応に行き、来栖季雄と鈴木和香は自由にカップを作って楽しむことになった。
陽光が依水園を暖かく照らし、木造の建物の外では静かな水が流れ、様々な表情の人々が湿った石畳の上を歩いていく。時は静かに流れ、来栖季雄の作った陶器も静けさに満ちていたが、鈴木和香のは惨憺たるものだった。
最後に店主が二人の作品を見に来た時、鈴木和香は恥ずかしがることなく来栖季雄の作ったカップを手に取り、店主に向かって顔を赤らめることもなく、得意げに言った。「どうですか?私、すごいでしょう?」