来栖季雄は少しも隠す気配もなく、堂々と認めた。「その通りだ」
「一体いつまでこんなことを続けるの?全て私一人がやったことよ。私に向かってくればいいじゃない……」
彼が欲しかった証拠は既に手に入れた。彼女とこれ以上無駄な言い争いを続ける必要はなかった……来栖季雄は赤嶺絹代の言葉を最後まで聞かずに、冷たく高慢な口調で言った。「赤嶺女史、もし私に電話をかけてきたのが命乞いのためなら、はっきり言っておきましょう……夢のまた夢ですよ!」
来栖季雄は電話を切ると、険しい表情で執務机の前に歩み寄り、内線電話を押した。すぐに秘書がノックして入ってきて、来栖季雄は携帯電話を秘書に投げ渡した。「携帯の録音をICレコーダーに移しておけ。今夜使う」
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椎名家。
赤嶺絹代は電話から聞こえる切れた後の「ツーツーツー」という音に、何度も「もしもし」と呼びかけた後、激しく携帯電話を床に叩きつけた。