第543話 13年間愛してた(13)

来栖季雄は少しも隠す気配もなく、堂々と認めた。「その通りだ」

「一体いつまでこんなことを続けるの?全て私一人がやったことよ。私に向かってくればいいじゃない……」

彼が欲しかった証拠は既に手に入れた。彼女とこれ以上無駄な言い争いを続ける必要はなかった……来栖季雄は赤嶺絹代の言葉を最後まで聞かずに、冷たく高慢な口調で言った。「赤嶺女史、もし私に電話をかけてきたのが命乞いのためなら、はっきり言っておきましょう……夢のまた夢ですよ!」

来栖季雄は電話を切ると、険しい表情で執務机の前に歩み寄り、内線電話を押した。すぐに秘書がノックして入ってきて、来栖季雄は携帯電話を秘書に投げ渡した。「携帯の録音をICレコーダーに移しておけ。今夜使う」

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椎名家。

赤嶺絹代は電話から聞こえる切れた後の「ツーツーツー」という音に、何度も「もしもし」と呼びかけた後、激しく携帯電話を床に叩きつけた。

怒りと悔しさで、赤嶺絹代の顔色は特に悪く、胸が激しく上下していた。

「奥様、そんなにお怒りにならないで……」椎名家の執事が諭すように声をかけた途端、ソファに向かって歩いていた赤嶺絹代の体が二度揺らめいた。執事は急いで赤嶺絹代を支え、ソファに座らせた。「奥様、大丈夫ですか?」

赤嶺絹代は手を強く握りしめ、目の奥には炎が燃えているかのようだった。しばらくして、彼女は小さな声で呟いた。「あの人が知ったわ。和香の子供を私たちが殺したことを知ったのよ」

赤嶺絹代の目に一瞬の動揺が走った。「もし佳樹が知ったら、きっと私を責めるわ……」

ここまで言って、赤嶺絹代は突然言葉を止めた。何かを思い出したかのように、傍らの固定電話を指差して言った。「早く、佳樹に電話して。私が……」

その後、赤嶺絹代は執事の耳元で小声で何かを囁いた。

執事は聞きながら、小声で「はい、奥様」と応えていた。