第555話 13年間愛してた(25)

執事と使用人たちが寝室から出て行くと、赤嶺絹代はようやく疲れた表情を隠し、顎を上げ、窓の外を見つめる目に冷酷な嘲笑の色が浮かんだ。

先ほど鈴木和香と話をしているとき、彼女のスマートフォンの画面に表示されたメッセージの内容をちらりと見なければ、和香と来栖季雄が偽装夫婦を演じていた二人が本当に恋仲になり、今夜一緒に食事をする約束までしていたなんて、思いもよらなかった。

今夜は七夕...つまり二人は恋人同士ということ?

来栖季雄が自分の子供のためにこれほど容赦なく彼女に反撃してきたのなら、彼女だってそのまま引き下がるわけにはいかない。この世に存在するはずのなかった雑種が、なぜこんなにも順風満帆な生活を送れるというの?

彼が彼女と息子を苦しめるなら、彼だって幸せになんてさせない!