第634章 入籍(4)

鈴木和香は航空券に表示されているロサンゼルスから東京行きの文字を見つめ、頭が真っ白になった。

馬場萌子は来栖季雄と一夜を共にすれば、彼が自分と復縁してくれると言ったはずじゃないの?たとえ彼が知らんぷりをしても、子供を身ごもって彼との結婚を迫れるはずじゃないの?

でも、なぜ?馬場萌子の前に進む道も後ろに戻る道も、来栖季雄によって一気に全て塞がれてしまったの?

帰国したくない、避妊薬も飲みたくない……一体どうすればいいの?

鈴木和香の目が不安げに揺れた。突然、馬場萌子がLINEで送ってきたメッセージを思い出した。来栖季雄がまだ強がっているなら、強がらなくなるまで関係を持ち続ければいいって……

鈴木和香は藁をも掴む思いで、突然椅子から立ち上がり、来栖季雄の首に腕を回して顔を上げ、彼の唇を塞いだ。さらに片手を空けて来栖季雄の腰に伸ばし、強引に中へと這わせた。