第648章 入籍(18)

大勢の人が見ている中、林夏音がこれほど堂々としているのだから、自分も負けるわけにはいかない。他人の笑い者になってはいけない。

鈴木和香は笑顔を保ちながら林夏音が去るのを待ち、その二つのアフタヌーンティーをテーブルの隅に適当に置くと、馬場萌子の方を向いて、これから撮影する台詞の確認を続けた。

林夏音は撮影現場に入って以来、みんなにアフタヌーンティーを奢ったり、撮影後に食事やカラオケに誘ったりすることが多かった。彼女には投資家の後ろ盾があり、今回もこうしてみんなに食べ物を配ったことで、多くの俳優やスタッフが彼女の周りに集まり、お世辞を言い始めた。

「夏音姉、そのリング素敵ですね。シャネルの最新作ですよね?」

「それに夏音姉が今朝着ていたドレス、限定品だったと思います。」