第669章 携帯の中のメッセージ(19)

来栖季雄は待ちくたびれて焦れていた。立ち上がって、トイレの入り口を行ったり来たりした後、最後には女子トイレの前で立ち止まり、少し躊躇した後、もう構っていられないという様子で、ドアを押して中に入った。

深夜だったため、ロビーの共用女子トイレには誰もいなかったが、生まれて初めて女子トイレに入った来栖季雄にとっては、まだ少し心理的な障壁があり、歩き方もやや窮屈そうだった。ただし素早く個室のドアを一つずつ開け、中を大雑把に確認していった。

来栖季雄が最後の個室のドアを閉めた時、眉間にしわを寄せた。

鈴木和香がトイレにいないなんて!

来栖季雄は大股で女子トイレを出ながら携帯を取り出し、鈴木和香に電話をかけようとした時、トイレ内の非常口に気付いた。何かを察したかのように、すぐさま方向を変えてエレベーターに向かい、必死にボタンを押して中に入り、最上階へと向かった。