第664章 携帯の中のメッセージ(14)

まして、結婚指輪なんて、たいしたことないでしょう?

大したことじゃないわ。誰が結婚には指輪が必要だって決めたの!

彼女と来栖季雄は特別なのよ!

しかし、どんなに自分を慰めようとしても、心の中では少し寂しく感じていることは分かっていた。

でも、今は彼の一言で、心がとても温かく、幸せな気持ちになっていた。

「来栖季雄、私、午後ちょっと言い過ぎちゃった?」

「もっと言い過ぎてくれても構わないよ」

なんて素敵な会話。

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夕食を済ませ、来栖季雄が店員に会計を頼んだ時、突然何かを思い出したように鈴木和香に手を差し出して「携帯」と言った。

鈴木和香は最初は理解できずに目を瞬かせたが、すぐに我に返り、急いでバッグから携帯を取り出して来栖季雄に渡した。

来栖季雄はそれを受け取り、素早く指を動かして何かを入力し、鈴木和香に返した。「これから何かあったら、この番号に電話して」