第687章 携帯の中のメッセージ(37)

声を出す間もなく、皆の目の前で、椎名佳樹に引っ張られて宴会場から出されてしまった。

赤嶺絹代と椎名佳樹が戻ってきたのは、まさにチャリティーパーティーが始まる時だった。

司会者がステージに立ち、マイクを握って、公式な祝辞を述べていた。

鈴木和香は鈴木夫人の隣に座り、椎名佳樹と赤嶺絹代が椎名一聡の両側に座るのを見た。親子二人は口論でもあったのか、表情がどちらも良くなかった。

チャリティーパーティーに来たからには、当然象徴的な意味で何かをオークションで競り落とすものだ。

実際、このようなチャリティーパーティーには、良い品物がないわけではないが、通常はフィナーレを飾るものとして登場し、もちろんそれらは一流の名門が競り合うものだった。

前半のオークション品はそれほど高価ではなく、ほとんどがアクセサリーや宝石、置物などだった。