第704章 説明(月票加更12)

「何のチャリティーパーティー?」来栖季雄は秘書の意味不明な言葉にいらだち始めたようで、声がすっかり冷たくなった。「はっきり言ってくれないか?」

秘書はようやく理解した。チャリティーパーティーでの出来事は本当に来栖季雄の仕業ではなかったのだ。

彼は来栖季雄の不機嫌さを感じ取り、急いで事の顛末を説明した。「実はこうなんです、来栖社長。妻から聞いたのですが、妻の大学の同級生が二年前に万和グループの里村社長と結婚しまして、今夜は東京の年に一度のチャリティーパーティーに参加したそうです。今夜のパーティーでは、椎名家がオークションの目玉商品を落札したのですが、椎名夫人が壇上で賞品を受け取る際、元々流れていたBGMが突然止まり、すぐに椎名夫人とある男性の声の録音会話が流れたそうです。内容は椎名夫人が君の子供を死なせたことについてでした…」

秘書の話を聞くにつれ、来栖季雄の眉間にしわが寄っていった。

「妻から聞いた録音の内容についておおよそ尋ねたのですが、全部ではありませんが、間違いなくあれは以前社長と赤嶺絹代さんとの会話です。当時のあなた方の通話記録は、すべてあのボイスレコーダーに記録されていました。それはあなたのお手元にあるはずですが、今夜あなたがやったことだと思っていました…」

来栖季雄はここまで聞いて、ようやく事の顛末を完全に理解した。

「来栖社長、赤嶺女史はあんなに見栄っ張りなのに、公の場で正体を暴かれるなんて、そのときの彼女の表情はさぞ見ものだったでしょうね。残念ながら、現場にいなかったですが」秘書は電話の向こうで、非常に残念そうに感嘆した。

「ボイスレコーダーのことは、君と私以外に誰が知っている?」

長い間黙って聞いていた来栖季雄が突然尋ねた。

秘書は質問に戸惑いながらも、すぐに答えた。「鈴木さんです」

ほぼ同時に、来栖季雄も同じ名前を口にした。「和香だ」

そう、間違いなく彼女だ。

秘書の言う通り、ボイスレコーダーは一つしかなく、桜花苑の棚にあった。そして鈴木和香は桜花苑に住んでいるので、彼女がそのレコーダーを見つける可能性が最も高かった。しかも今夜、彼女はそのチャリティーパーティーに参加していたのだ。