「何のチャリティーパーティー?」来栖季雄は秘書の意味不明な言葉にいらだち始めたようで、声がすっかり冷たくなった。「はっきり言ってくれないか?」
秘書はようやく理解した。チャリティーパーティーでの出来事は本当に来栖季雄の仕業ではなかったのだ。
彼は来栖季雄の不機嫌さを感じ取り、急いで事の顛末を説明した。「実はこうなんです、来栖社長。妻から聞いたのですが、妻の大学の同級生が二年前に万和グループの里村社長と結婚しまして、今夜は東京の年に一度のチャリティーパーティーに参加したそうです。今夜のパーティーでは、椎名家がオークションの目玉商品を落札したのですが、椎名夫人が壇上で賞品を受け取る際、元々流れていたBGMが突然止まり、すぐに椎名夫人とある男性の声の録音会話が流れたそうです。内容は椎名夫人が君の子供を死なせたことについてでした…」