最初は元気のなかった来栖季雄も、最後には深く感動していた。
演技を終えた鈴木和香は深呼吸をして、すぐにいつもの可愛らしい様子に戻り、ベッドに飛び込んだ。まるでお菓子をねだる子供のように、目に期待を込めて来栖季雄を見つめた。「どうだった?」
来栖季雄はようやく我に返り、手を伸ばして彼女を抱きしめた。「とても良かったよ」
「どれくらい良かった?」
「とても、とても良かった」
「もし審査員だったら、何点くれる?」
「100点満点」
「本当に?」
「黄金より確かだよ」
来栖季雄の腕の中で鈴木和香はくすくす笑い始めた。その笑顔は窓から差し込む朝の光よりも魅力的だった。彼女は体を回して、来栖季雄の肩に顎を乗せ、自惚れと誇りに満ちた表情で言った。「実は私もそう思ってた!」
「自惚れだな」来栖季雄は軽く笑った。「恥ずかしくないのか?」