第757章 椎名佳樹の決断(16)

来栖季雄が言い終わってしばらくして、鈴木和香はようやくまばたきをした。一滴の涙がこっそりと流れ落ちた。

この瞬間、彼女は世間からの自分への見方や罵りがどれほど取るに足らないものかを感じた。

たとえ彼女の評判が悪く、人々に罵られようとも、それがどうした?

彼女には彼女を深く愛する来栖季雄がいる。世界中の女性が一生かけても出会えないかもしれない来栖季雄が。

たとえ全世界が彼女を軽蔑しても、それでも彼女を掌の宝物のように大切にしてくれる来栖季雄が。

それで十分...満足している。

彼女の人生はすでに充実している。今少し波乱があり、将来に少し欠陥があったとしても、それがどうした?

鈴木和香は感動のあまり、自分の気持ちをどう言葉で表現すればいいのかわからなかった。最後には彼の首に腕を回し、顔を上げて、自ら彼の唇にキスをした。

彼女の積極性と情熱に、来栖季雄の体は少し震えた。そして彼は彼女の頭を抑え、このキスを深めた。

つい先ほど愛を交わしたばかりで、二人ともすでに疲れていたはずなのに、それでもなお最も原始的な方法で心の思いを伝えたいと思った。

部屋の中は静かで、二人の親密な接触から断続的に漏れる甘い音だけが聞こえた。

途中で来栖季雄は体を翻し、鈴木和香を自分の上に抱き上げ、体勢を変えた。最後の終わりに近づいた時になってようやく男性上位の体勢に戻し、全身の力を振り絞って彼女と共に空の果てへと昇った。

すでに終わってからかなり経っているのに、来栖季雄はまだ鈴木和香の上にまとわりついて離れようとしなかった。鈴木和香は目を閉じ、全身の力を抜いて、疲れて動くことすらしたくなかった。

来栖季雄は時々鈴木和香の眉間や首筋、耳たぶにキスをした...最後には彼女の耳元に寄り、低い声で言った。「和香、愛してる」

鈴木和香は彼のこの言葉に足の指まで丸めてしまった。疲れ果てた彼女は、だるそうに体を動かし、彼の腕の中に身を寄せ、はっきりしない声で言った。「私も愛してる」

彼女の言葉が終わった瞬間、再び来栖季雄に唇を塞がれた。

-

午後のプレッシャーと夜の運動で、鈴木和香の体力はやや限界に達していた。しばらくすると来栖季雄の腕を枕にして深い眠りについた。