「そうだよね、どうして気づかなかったんだろう、そうしたら一緒に写真を撮ってサインをもらえたのに!」
「残念だね……」
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鈴木和香は来栖季雄に試合会場から駐車場まで抱えられて連れて行かれた。
来栖季雄は車のドアを開け、鈴木和香を慎重に助手席に座らせると、シートを後ろに調整して和香がより広いスペースで座れるようにした。シートの高さを調整する際も、絶えず和香に快適かどうか尋ねていた。
現在の鈴木和香は妊娠しているものの、まだ1ヶ月目なので以前と比べて特に変わりはなく、実際どう座っても問題なかった。最初は来栖季雄の質問に「これでいいよ」「もう調整しなくていいよ」と答えていた。
しかし来栖季雄はしつこく調整を続けた。「これはどう?さっきと比べてどっちが快適?……この角度は?もっと快適になる?……それともこの角度?」