第796章 あの季雄の恋文(6)

来栖季雄は鈴木和香を抱く力を少し強めた。長い間抱きしめた後、ようやく頭を下げ、鈴木和香の耳元で、人を魅了するような声で言った。「和香、ありがとう。僕は一生をかけて君に尽くすよ」

僕を愛してくれてありがとう。

僕の妻になってくれてありがとう。

僕の子供を身ごもってくれてありがとう。

どんな言葉を尽くしても感謝の気持ちは表せない。だから、残りの人生をかけて、精一杯君に尽くすよ。

一生涯。

なんて贅沢で儚い三文字だろう。でも不思議と来栖季雄の口から発せられると、信頼感が湧いてくる。

鈴木和香は手を上げて、来栖季雄の腰に回した。

夜は静かで、ベッドの上の二人はただ静かに抱き合っていた。

どれくらい時間が経ったのか、来栖季雄が突然口を開いた。「和香、絶対に赤ちゃんには言わないでくれ、僕が君に避妊薬を飲ませていたことを…」