来栖季雄がこの四文字を聞いた時、彼の目元が一瞬揺れた。彼は長い間黙っていたが、ようやく口を開いた。「実は、ずっとお前を責めたことはなかったんだ」
その簡単な一言で、椎名佳樹は不思議と目頭が熱くなった。彼ののどぼとけが二度上下に動き、そして言った。「わかってる」
彼は本当にわかっていた。彼がずっと自分を責めていなかったことを。
もし責めていたのなら、なぜ当時椎名グループを彼に任せただろうか。
もし責めていたのなら、なぜ遺産の受益者として彼の名前を書いただろうか。
実は彼も相手を責めたことはなかった。
たとえ当時、彼が椎名グループを買収した時、怒りに任せて彼のところへ駆けつけ、思わず酷い言葉を吐いたとしても、それは母親が怒りで倒れたのを知って、一時的な感情の爆発だっただけだ。