第808章 昔日の時を取り戻す(8)

今でさえそうなのに、10年前でさえ、教室中の机はすべて同じで、バラバラに並べられた机の中で、鈴木和香は自分が伏せていた机がどれなのか見分けることができなかった。

しかし、それから10年が経った今、来栖季雄はペンキが剥げた机を指差し、確信に満ちた口調でこれが彼女が使っていた机だと言った。鈴木和香はまったく信じず、来栖季雄がでたらめを言っているだけだと思い、口をとがらせて「適当に当ててるだけでしょ」と返した。

来栖季雄は眉を上げたが、鈴木和香と言い争うことはせず、むしろ彼女の手を離し、机の前の椅子を引き、半分しゃがんで机の前に身を置き、手を伸ばして中をしばらく探った後、突然声を上げた。「ああ、ここだ」

「何がここにあるの?」鈴木和香は来栖季雄の言葉の意味がまったく理解できず、少し疑わしげに尋ね返した。