第861章 エピローグ(21)

鈴木和香は口をパクパクさせながら、来栖季雄の表情を見つめ、とても信じられないという様子だった。

しばらくして、和香はようやく口を開いた。「どうやって死んだの?」

「自殺だ。舌を噛んで自害した」季雄は少し間を置いて、続けた。「昨日亡くなって、その日のうちに埋葬された」

実際には一昨日、つまり彼らが結婚式を挙げた日に亡くなったのだが、椎名佳樹はあえて母親の本当の命日を一日遅らせていた。

和香はそれ以上何も言わなかった。

赤嶺絹代はあれほど多くの悪事を働き、彼らの子供を一人死なせ、夏美を不妊にし、季雄を自殺寸前まで追い込んだ...考えれば、本当に千刀万剐にして、八つ裂きにしてやりたいほどだった...しかし実際に彼女の死を聞いたとき、やはり思わず感慨深いものがあった。

どう考えても、これは良い知らせとは言えず、和香も買い物をする気分ではなくなり、季雄と一緒に直接桜花苑へ帰った。

帰り道で、和香は思わず感想を漏らした。「まさかこんな風に死ぬなんて。前はあの人に死んでほしいと思っていたのに」

季雄は何も答えず、ただ集中して慎重に車を運転していた。

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結婚式を終えた和香には、ただ一つの任務が残されていた。安心して胎児を育てることだ。

夏美にも一つの任務があった。安心して療養することだ。

季雄も大部分の仕事を家に持ち帰るようにした。和香の妊娠のため、以前二人が偽装夫婦だった頃に雇っていた千代田おばさんを再び雇い入れた。

一方、佳樹は母親の死後三日目には、通常通り仕事に戻った。

皆の日常は、表面上は穏やかに見え、あらゆる波乱が過ぎ去ったかのようだった。

赤嶺絹代が亡くなって七日目、いわゆる「頭七」の日、佳樹は仕事を終えた後、墓地に行って絹代のために紙銭を焼き、花束を供えた。翠苑マンションに戻ったのは、すでに夜の9時だった。

佳樹がマンションのドアを開けると、中からテレビの音が聞こえてきた。彼は顔を上げ、リビングを見ると、松本雫が毛布を被って横向きにソファに横たわっていた。この光景は、なぜか彼の心を安らかにし、思わず口元が緩んだ。彼は車の鍵を玄関の脇に置き、靴を脱いで中に入った。

「食事はした?」佳樹はまず一言尋ねてから、雫が目を閉じて眠っていることに気づいた。

まだこんな時間なのに...どうして寝てしまったんだろう?