第24章 根岸氏母娘の屈辱

ホールの中で、全員が根岸史子と根岸佐伯を見つめていた。

その感覚を鈴木知得留はよく分かっていた。まるで世界で最も悪質な行為をしてしまい、千刀万剐の刑に処されても足りないような気持ちだった。

あの時、彼女は田村厚に申し訳ないと思い、彼のために死のうとさえ考えた。

今この瞬間、本当にすっきりした気分だった。

鈴木知得留は無邪気な表情で、わざと尋ねた。「佐伯、前に私に好きなのは冬木空だって言ってたじゃない。一目惚れしたって。なのに今は田村厚と...正直言って、私はあなたの姉として、小さい頃から妹のように思ってきたの。好きな人がいるなら、私は全力で応援したのに。どうしてこんな風に隠さなきゃいけなかったの？私をバカみたいに感じさせて、今でも冬木空との婚約に罪悪感を感じているのよ。」

「何を罪悪に感じることがあるの！」秋山玲奈は激しく言い放った。「彼女にどんな資格があって冬木家に嫁げるというの。今じゃ誰も欲しがらない厄介者よ！品行方正でもないのに簡単に男と寝て、さらに姉の好きな人に手を出すなんて。根岸史子、あなたが嫁いできた時に私が何て言ったか覚えてる？鈴木家の恥になるようなことをしたら、即刻出て行ってもらうって！」

秋山玲奈は一切の情けも見せなかった。

根岸史子はその瞬間、ソファーから床に膝をつき、跪いた。

全員が驚き、鈴木知得留さえも驚愕した。

彼女は根岸史子が秋山玲奈の前にまっすぐ跪いているのを見た。「お母様、私の教育が至らなかったせいです。佐伯をきちんと育てられなかった私の責任です。私が悪いんです。私が悪いんです。」

そう言うと、「パン」と激しく自分の頬を叩いた。瞬時に五本の指の跡が浮き出た。決して大げさではなかった。

秋山玲奈の目が僅かに動いた。

鈴木山も根岸史子のその様子を見て、少し心を動かされた。やはり長年連れ添った妻がこのような姿を見せるのは辛かった。

根岸佐伯もその瞬間、驚いて床に跪き、泣きじゃくりながら言った。「おばあちゃま、全て私が悪いんです。私が悪いんです。もう二度とこんなことはしません、二度としません...」

大広間には泣き声が響き渡っていた。

鈴木知得留は根岸史子を甘く見ていなかった。どんな時でも、たとえ窮地に追い込まれても、必ず生き残る術を見つけ出せる人だった。