翌日の早朝。
鈴木邸は少し賑やかになっていた。2人の高級メイクアップアーティストが訪問サービスを行い、鈴木知得留と根岸佐伯の化粧に重点を置いていた。
鈴木知得留は化粧鏡の前に座り、すでにシルバーのビジュー付きイブニングドレスに着替えていた。体にフィットしたデザインとロングスカートが彼女をすらりとした姿に見せ、首には細いプラチナのネックレスをつけ、鎖骨の間に小さなダイヤモンドが輝き、ドレスと調和しながらも派手すぎない印象だった。
一方、隣に座る根岸佐伯は、いつものように純白のプリンセスドレスを選んでいた。いつも自分を清楚で気品のある姿に見せたがるが、正式な場では大抵、迫力不足に見えてしまう。
静かな化粧室で、ドアの方から物音が聞こえた。
鈴木知得留は鏡越しに、黒いスーツを着て髪を完璧に整えた冬木空の姿を見た。彫刻のように整った顔立ちで、今は薄く唇を結んで上から見下ろすような様子...鈴木知得留は認めざるを得なかった。この男は国を滅ぼすほどの美貌の持ち主だと。