第26章 恋心芽生え?

グランドパレス。

ホテル式管理の高級マンションの豪華なスイートルームで、冬木空は広々としたクローゼットの大きな窓の前に立っていた。カジュアルシャツを脱ぎ、白いシャツを手に取ろうとした時、突然手を止めた。「やめておこう。後で黒いスーツを持ってきてくれ」

冬木心は完璧な仕立ての灰色のスーツと正装用の白いシャツを手に持ち、眉をひそめた。「お兄さん、私はあなたの専属デザイナーじゃないわ。一日に何回も使い走りさせる気?私だってファッション界では一応名が通っているのよ。そんな使い方されるべきじゃないわ」

冬木空は何も言わず、ゆっくりと脱いだカジュアルシャツを着直した。

冬木心は不機嫌そうに目を回し、ぶつぶつと言った。「電話一本で気が変わるなんて、そんなに優柔不断にならないでよ」