第13章 謀略(2)

静かなホールの中で、根岸佐伯の声がはっきりと響いた。

秋山玲奈は顔を曇らせ、「続きを読みなさい!」と言った。

根岸佐伯は従順に小声で読み始めた。「情報筋によると、某鈴木家のお嬢様が最近、恋人からのプロポーズを受け入れたとのこと。そのプロポーズの相手は、当初の婚約者である冬木氏の長男ではなく、大学時代からずっと付き合っていた田村氏だという。二人は学生時代から仲の良いカップルで、卒業と同時に結婚を約束していたとされる。このことから、噂されていた鈴木家と冬木家の婚約は有名無実化していたことが窺える。」

秋山玲奈は聞けば聞くほど表情が悪くなっていった。

根岸佐伯は慎重にスマートフォンを秋山玲奈に差し出し、「写真もあります」と言った。

この時、鈴木知得留も既にスマートフォンを開いてこのニュースを見ていた。写真には昨夜の田村厚の跪いてのプロポーズの写真の他に、大学時代の親密な写真も多数あった。