翌日。
「冬木若旦那が鈴木さんにプロポーズ、その情熱的でロマンチックな姿に、皆が羨望の眼差しを向けた。」
トップニュースが、メディアを席巻した。
鈴木知得留は目覚めてすぐにプッシュ通知のニュースを見て、昨日の群衆の中にきっとメディア関係者がいたのだと悟った。冬木空というずる賢いビジネスマンのことだから、言うまでもなく冬木家の株価はぐんぐん上昇しているはずだ。
彼女はニュースの内容にはあまり関心がなかった。
記事に載っている冬木空とのキスの写真、ロマンチックな花火の数々...確かに多くの少女たちの心を揺さぶるものだった。
同時刻、隣の部屋では、根岸佐伯がこれらのニュースを見て目を真っ赤にしていた。なぜ鈴木知得留がこんなに華やかな生活を送れるのに、自分はこんなに惨めな思いをしなければならないのか!