鈴木知得留は冬木空の車に乗って鈴木邸を出た。
鈴木知得留は自分の保管していた血液と牛乳を冬木空に渡し、「結果が出たら知らせて」と言った。
「ああ」冬木空は頷き、高級車の車載冷蔵庫にそれらを入れた。
「これからどこに行くの?」鈴木知得留は尋ねた。
「デートを提案したのは君だろう」冬木空は答えた。
つまり、行き先は彼女が決めるということだ。
「冬木空、男なら積極的になれないの?」鈴木知得留は不機嫌そうに言った。
「君はとても素直だと思っていたけど」冬木空は口角を上げ、「今は要求が多くなったね?」
鈴木知得留は言葉に詰まり、しばらくしてから「私を甘やかしてくれたことある?」と言った。
冬木空は答えないどころか、悠然と笑っていた。
しかも、その笑顔が魅力的だった。
何を笑ってるのよ、このバカ!
車は目的もなく街を走り続けた。
しばらくして、車は路上に停車し、鈴木知得留は冬木空が車載冷蔵庫から先ほど渡されたものを取り出し、車を降り、黒いスーツを着た男性に渡すのを見た。男性はそれを持って立ち去った。
その後、冬木空は席に戻った。
鈴木知得留はじっと冬木空を見つめていた。彼女は彼らのような上流社会の人間が何かをしようとすれば簡単だということはよく分かっていたが、なぜか冬木空は異常なほど...便利すぎるように感じた。
冬木空は鈴木知得留の視線を感じ、眉をしかめて「言いたいことがあるなら直接言え」と言った。
「あなたは私が思っていた以上に深い人ね」鈴木知得留は率直に言った。
「後悔しているのか?」冬木空は眉を上げた。
「そこまでは」鈴木知得留は目を伏せ、「あなたが強ければ強いほど私を守れる。ただ...」
ただ。
彼を信用すべきかどうか。
冬木空は彼女の心を見透かしたようだったが、何も言わなかった。
鈴木知得留は深く息を吸い、あまり考え込まないようにした。
彼女は明確に考えていた。どちらにしても互いに利用し合うだけだ。いずれ道が違えば、別々の道を行けばいい。
車は再び東京の大型遊園地に停まった。
週末ではないため、人は多くはないがそれなりにいて、主に親が幼い子供を連れて遊びに来ている。もちろん、多くのカップルもいた。