第37章 婚約パーティー2 嫁を甘やかすのに理由はいらない（2本目）

ホテルの裏庭。

冬木空の顔色は良くなかった。

鈴木知得留は彼を無視し、心の中で考えていた。牛乳はこんなに薬を入れやすい方法なのに、なぜ根岸史子は選ばなかったのか。この女は何をするにもここまで慎重なのか？本当に完璧すぎる！

「私が思うに、君の家は本当に手強い相手に出会ったようだ」冬木空は率直に言った。「誰がこの背後で、こんなに精密な手を打っているのか…」

鈴木知得留は冬木空を見つめ、彼の言葉を待った。

しかし彼は肩をすくめただけで、「私にも分からない」と言った。

鈴木知得留は唇を噛んだ。

一体…誰なのか？！

唯一確実なのは金融界の人物だということだが、日本のこれほど多くの金融界の人物を一人一人排除していくのは一朝一夕にはできない。

「でも、難しくはない」冬木空は鈴木知得留の考えを見透かしたかのように言った。「最後に最高の地位に就きたい者が、最も疑わしい。ゆっくり待てばいい」

「でも父の体は待てないわ！」鈴木知得留は少し怒って言った。「あなたもこの薬の危険性を言ったでしょう。この薬を父の体内でずっと広がらせておくわけにはいかないわ！」

「君の父親が牛乳以外に何か食習慣があるか調べてみたらどうだ？通常の三食には入れられないはずだ。そうすれば全員が摂取することになる。根岸史子も道連れになりたくはないだろう」冬木空は注意を促した。「注目すべきは特異な点だ。君の父親の個人的な習慣だ」

「牛乳以外は思いつかないわ」

「一つの場面に限定せずに考えろ。例えば家以外に、オフィスなどの場所で、君の父親に特別な好みはないか」冬木空は一言一句はっきりと言った。「最も重要な注意点は、信頼できると思う人を疑わないでいることだ。往々にして最も信頼している人が、最も深く傷つける人かもしれない」

「それは身に染みて分かってるわ」鈴木知得留は冷笑した。

そうでなければ、前世であんな悲惨な結末を迎えることもなかったはずだ。

突然静かになった空間に、馴染みのある声が響いた。「ここにいたんだ！」

鈴木知得留と冬木空が振り返ると、北村忠がスーツ姿で現れていた。普段は少し活発な方だが、実際にはかなり品のある青年で、冬木空とは異なる雰囲気を持っていた。冬木空の方がより落ち着いていて内向的で、より貴族的で、常に人を測り知れない感じを与えるが、不思議と魅力的だった。