第68章 二審（4）リスクの排除（2番目の更新）

加藤健は言葉を失い、その瞬間、本当に鈴木知得留の言葉に詰まってしまった。

鈴木知得留は加藤健の感情を気にせず、裁判長に敬意を表して言った。「裁判長、私は理不尽な要求をしているわけではありませんし、相手方弁護士が言うような意図的な判断の妨害をしているわけでもありません。ただ私の潔白を証明し、事実を明らかにしたいだけです。有効な証拠を事前に提出できなかったのは、確かに時間的な制約があったためで、皆様の時間を無駄にしないために、やや唐突な決定をせざるを得ませんでした。ご理解いただければ幸いです。」

鈴木知得留の言葉に、裁判長は少し躊躇した。

裁判長は陪席裁判官たちを見渡し、目線で意思疎通を図った。

裁判長は口を開いた。「被告の証拠は受理します。提出された証拠の有効性を判断し、これから行われる無罪弁論の根拠とさせていただきます。」

「はい。」鈴木知得留は既に準備していた資料をファイルにまとめ、藤田文を通じて裁判長に渡した。

裁判長は受け取り、全員に向かって言った。「私と陪席裁判官は、被告が提出した証拠を審査するため、一時退廷いたします。」

そう言って、裁判長と陪席裁判官は席を立って退席した。

退席すると、法廷内でささやき声が聞こえ始めた。

藤田文は鈴木知得留に尋ねた。「証拠があったんですか？」

「はい。申し訳ありませんが、外部の要因が多くて、事前にお伝えできませんでした。」

「いいえ、構いません。」藤田文は首を振り、鈴木知得留の立場を考えれば表面的なものだけではないことは理解していた。ただ感心したのは、「加藤弁護士を言葉につまらせるなんて、想像もしませんでした。私は加藤弁護士の多くの裁判を見てきましたが、いつも雄弁で、一度など女性弁護士を泣かせたこともありました。」

鈴木知得留は軽く笑って、「じゃあ、すっきりしましたか？」

藤田文は一瞬驚き、少し赤面しながら言った。「少しは。」

先輩に対して失礼かもしれないが、内心の小さな喜びは隠せなかった。

やはり...加藤健は傲慢すぎたのだ。

鈴木知得留は藤田文とちょっとした雑談をしながら、落ち着いた様子を見せていた。