待合室の中。
鈴木知得留は黙って椅子に座っていた。
頭の中には冬木空が去る時の、なぜか温かみを感じさせる後ろ姿が浮かんでいた。
冬木空は本当に彼女のために多くのことをしてくれた。彼女も彼のすべてに感謝し、心も動かされていた。しかし、これらすべては心が動いているからこそのことで、彼女が深く感じ取れるのは、彼に対する感情が少しずつ、むしろ速いスピードで深まっていることだった。
彼女は深く考え込んでいた。
胸が波打っていた。
しばらくして、職員が法廷に呼びに来た。
彼女は椅子から立ち上がり、深く息を吸い、口角に笑みを浮かべた。
恋愛のことは一旦置いておいて、クズを懲らしめることは一刻も遅らせられない!
彼女は法廷に入った。
藤田文はすでに弁護士席で彼女を待っていた。
彼女は軽く頷き、傍聴席に目を向けた。