あっという間。
控訴審の日が来た。
鈴木友道がまた休暇を取って戻ってきた。
朝早くから車を運転して姉を裁判所へ送る。
車内で、鈴木知得留と藤田文は法廷での手続きについて話し合っていた。
藤田文は早朝から鈴木知得留の別邸で待機していた。
「加藤健は法曹界での威信が高いですね」突然、鈴木知得留が話題を変えた。
明らかに減刑の話をしていたのに、なぜ鈴木知得留の様子が冴えないのか、藤田文には分からなかった。
「はい」藤田文は頷いた。
「この間、あなたも何か脅迫されたでしょう」加藤健が気にしなくても、彼に取り入ろうとする多くの弁護士が意図的に脅かしているはずだ。
「大したことではありません。どんな場合でも、弁護士は依頼人に責任を持たなければなりません」
だから藤田文は本当に原則を守る弁護士だ。前世で頭角を現したのも納得できる。
鈴木知得留は言った。「いずれ加藤健の地位を引き継ぐことになりますよ」
藤田文は笑って「お言葉を借りましょう」と言った。
明らかに心に留めていない様子だった。
車内の雰囲気は良好で、今日の緊張する法廷状況のせいで重くなることはなかった。
車は目的地に到着した。
相変わらず大勢の記者たちがいた。
鈴木知得留には理解できなかった。東京にはこんなに多くの国際的スターがいるのに、なぜこの連中は彼らに注目せず、自分を追いかけ回すのだろう!
ドアを開けて降りようとした時。
突然、誰かがドアを開けた。
鈴木知得留が顔を上げると、スーツ姿で威厳のある冬木空が車のドアの前に立っていた。
見上げる角度のせいかもしれないが、なぜか冬木空がとても背が高く、かっこよく、そして頼もしく感じられた!
彼の紳士的な手助けを受けて車から降りた。
鈴木知得留は彼を見つめて言った。「いつも思いがけない驚きをくれるのね」
「いや、私は単に自分の労力の成果を確認したいだけだ」冬木空の磁性のある声は相変わらず魅力的だった。
彼はいつも自分の優しさを認めようとしない。
この人は、本当に闇の色気があるのか?
そう。
とんでもなく色気がある。
二人は一緒に法廷へ向かった。
記者たちが一斉に押し寄せてきた。
鈴木知得留は明らかに冬木空が自分を守るように前に進んでいることを感じた。