鈴木知得留は階段を降りて冬木空を探しに行った。
裏庭で、北村忠は遠くから鈴木知得留が近づいてくるのを見て、つぶやいた。「お前の婚約者が来たぞ。邪魔になりそうだから、俺は行くよ」
「タンクも連れて行け」
「なんでだよ?」北村忠は逆毛が立った。
その瞬間、まるで鉄のオンドリのようだった。
「邪魔者は全部出て行けと言っただろう」冬木空は立ち上がった。
北村忠は不機嫌そうにタンクを引っ張った。
一体誰が犬を飼いたいと言ったんだ、誰が?!
頭がおかしくなったのか、犬を買うなんて買うなんて……
北村忠は怒り心頭で立ち去り、鈴木知得留の傍を通り過ぎた。
鈴木知得留は挨拶しようとしたが、北村忠がタンクを連れて、誰かに借りがあるかのような不機嫌な顔をしているのを見た。
彼女は声をかけるのを諦め、また冬木空が「お嫁さん」をいじめたのだろうと推測した。