冬木空は鈴木知得留と共に玄関まで来た。
車に乗ろうとしたとき、北村忠も後について来た。「一緒に行くよ」
ここにいても存在感がないし。
冬木空は拒まなかった。
その時、鈴木知得留は突然思い出した。「道明寺華は?」
「昼寝をさせたんだ」と冬木空は言った。「そろそろ起きる時間だから、北村、呼んでくれないか」
北村忠は自分がここに現れるべきではなかったと思った。
不機嫌な顔で冬木邸のホールに戻った。
道明寺華は客室で寝ているはずだ。彼は二階に上がると、部屋から出てきた冬木心とばったり出くわした。
冬木心はすぐに背を向けた。
北村忠は思わず叫んだ。「安心しろ、お前に会いに来たんじゃない。道明寺華を探しているんだ」
冬木心の足が一瞬止まった。
「鈴木知得留のボディーガードだ。見なかったか?」
冬木心は冷たく答えた。「見てない」
北村忠はそれ以上聞かずに、直接客室へ向かった。
いくつかの客室を探しても見つからなかった。
くそ、あいつどこに行ったんだ。
しかも道明寺華の携帯番号も知らないし。
北村忠はイライラしながら鈴木知得留に電話をかけようとした時、角を曲がったところで道明寺華を見つけた!
まったく、この女は普通じゃないな。
何もせずに、ここで逆立ちなんかして何してるんだ。
彼は道明寺華の前に立った。
道明寺華は彼を見て、壁から降りてきた。
「すごいな、スパイダーマンか?空も飛べるんじゃないか?!」
道明寺華は話すのが好きではなかった。
北村忠もこれ以上話す気はなく、「行くぞ、鈴木知得留が玄関で待ってる」
道明寺華は北村忠について行った。やっとこの迷宮から出られた。
玄関で鈴木知得留は道明寺華と北村忠が出てくるのを見て、冬木空と共に車に乗り込んだ。
道明寺華は運転席に、北村忠は助手席に座った。
車は冬木邸を出発した。
車内で。
鈴木知得留が切り出した。「今日の面接で、田村厚はプライベートな感情の問題について質問されたわ」
冬木空は頷いた。
仕事の話をする時、二人とも少し真剣な表情になった。
「田村厚は建前的な話をして、面接官は合格を出したの。さらに調査の結果、田村厚の否定的なニュースは彼の責任は大きくないと言ったわ」
冬木空は考え込んでいるようだった。