第89章 冬木空、あなたの情調がまた落ちたの?

冬木空は鈴木知得留と共に玄関まで来た。

車に乗ろうとしたとき、北村忠も後について来た。「一緒に行くよ」

ここにいても存在感がないし。

冬木空は拒まなかった。

その時、鈴木知得留は突然思い出した。「道明寺華は?」

「昼寝をさせたんだ」と冬木空は言った。「そろそろ起きる時間だから、北村、呼んでくれないか」

北村忠は自分がここに現れるべきではなかったと思った。

不機嫌な顔で冬木邸のホールに戻った。

道明寺華は客室で寝ているはずだ。彼は二階に上がると、部屋から出てきた冬木心とばったり出くわした。

冬木心はすぐに背を向けた。

北村忠は思わず叫んだ。「安心しろ、お前に会いに来たんじゃない。道明寺華を探しているんだ」

冬木心の足が一瞬止まった。

「鈴木知得留のボディーガードだ。見なかったか?」

冬木心は冷たく答えた。「見てない」

北村忠はそれ以上聞かずに、直接客室へ向かった。

いくつかの客室を探しても見つからなかった。

くそ、あいつどこに行ったんだ。

しかも道明寺華の携帯番号も知らないし。

北村忠はイライラしながら鈴木知得留に電話をかけようとした時、角を曲がったところで道明寺華を見つけた!

まったく、この女は普通じゃないな。

何もせずに、ここで逆立ちなんかして何してるんだ。

彼は道明寺華の前に立った。

道明寺華は彼を見て、壁から降りてきた。

「すごいな、スパイダーマンか?空も飛べるんじゃないか?!」

道明寺華は話すのが好きではなかった。

北村忠もこれ以上話す気はなく、「行くぞ、鈴木知得留が玄関で待ってる」

道明寺華は北村忠について行った。やっとこの迷宮から出られた。

玄関で鈴木知得留は道明寺華と北村忠が出てくるのを見て、冬木空と共に車に乗り込んだ。

道明寺華は運転席に、北村忠は助手席に座った。

車は冬木邸を出発した。

車内で。

鈴木知得留が切り出した。「今日の面接で、田村厚はプライベートな感情の問題について質問されたわ」

冬木空は頷いた。

仕事の話をする時、二人とも少し真剣な表情になった。

「田村厚は建前的な話をして、面接官は合格を出したの。さらに調査の結果、田村厚の否定的なニュースは彼の責任は大きくないと言ったわ」

冬木空は考え込んでいるようだった。