冬木空は鈴木知得留と共に玄関まで来た。
車に乗ろうとしたとき、北村忠も後について来た。「一緒に行くよ」
ここにいても存在感がないし。
冬木空は拒まなかった。
その時、鈴木知得留は突然思い出した。「道明寺華は?」
「昼寝をさせたんだ」と冬木空は言った。「そろそろ起きる時間だから、北村、呼んでくれないか」
北村忠は自分がここに現れるべきではなかったと思った。
不機嫌な顔で冬木邸のホールに戻った。
道明寺華は客室で寝ているはずだ。彼は二階に上がると、部屋から出てきた冬木心とばったり出くわした。
冬木心はすぐに背を向けた。
北村忠は思わず叫んだ。「安心しろ、お前に会いに来たんじゃない。道明寺華を探しているんだ」
冬木心の足が一瞬止まった。
「鈴木知得留のボディーガードだ。見なかったか?」