第116章 冬木空はこんなに純粋だったのか(1更)

冬木空はいつも予想外な行動をする。

彼が近づいてくると思った時は距離を保ち、近づかないと思った時は彼女に寄り添ってくる。

今この瞬間のように。

長い間。

二人は離れた。

鈴木知得留は冬木空を見つめた。

冬木空は鈴木知得留を見つめた。

二人は目を合わせた。

二人とも顔を赤らめた。

冬木空も恥ずかしがることがあるのか?

前世では...前世では真夜中で、彼の顔は見えなかった。

彼の体の温もりだけを感じ、彼の表情には気付かなかった。

彼女は手を伸ばし、彼の整った顔立ちの、今は異なる色を帯びた頬に触れた。

冬木空がこんなにも純粋だったなんて。

前世では、彼の初めてだったのかな?

そうなのかな?

心臓が激しく鼓動していた。

冬木空はいつも彼女の心に衝撃を与える。意図的か無意識か、それは深く心に刻まれる。