冬木空はいつも予想外な行動をする。
彼が近づいてくると思った時は距離を保ち、近づかないと思った時は彼女に寄り添ってくる。
今この瞬間のように。
長い間。
二人は離れた。
鈴木知得留は冬木空を見つめた。
冬木空は鈴木知得留を見つめた。
二人は目を合わせた。
二人とも顔を赤らめた。
冬木空も恥ずかしがることがあるのか?
前世では...前世では真夜中で、彼の顔は見えなかった。
彼の体の温もりだけを感じ、彼の表情には気付かなかった。
彼女は手を伸ばし、彼の整った顔立ちの、今は異なる色を帯びた頬に触れた。
冬木空がこんなにも純粋だったなんて。
前世では、彼の初めてだったのかな?
そうなのかな?
心臓が激しく鼓動していた。
冬木空はいつも彼女の心に衝撃を与える。意図的か無意識か、それは深く心に刻まれる。