第105章 立場を固めて、敵と味方を見分ける(2番目)

広々としたオフィス。

木村章は鈴木知得留をじっと見つめていた。

先ほどまでは鈴木知得留が密告したと確信していたし、楠木部長も曖昧な態度を取っていた!しかし、今この瞬間の鈴木知得留の突然の発言と、彼女が部署全員の前で楠木部長と対立する態度を見せたことで、鈴木知得留がそんなことをするはずがないと信じるようになった。

木村章は急いで言った。「実は私が悪かったんです。私が言いふらしたせいで、あなたに迷惑をかけてしまい、誤解までさせてしまって、さらに楠木部長との関係まで…」

「気にしないで。事情が分かればそれでいいの」鈴木知得留は寛容に答えた。

木村章は必死に頷いた。

鈴木知得留は微笑んで自分の席に戻った。

席に戻ると、密かに深いため息をついた。

彼女は意図的に楠木観月との不和を演出したのだ。