夜が更けていく。
鈴木知得留は半眼を閉じていた。
彼女はとても疲れていた。
海水に浸かっていると、想像以上に弱っていた。
道明寺華の体に寄りかかっていた。
瞳を上げ、星のない空を淡々と見つめていた。
おそらく、夜明け前の暗闇だろう。
手を伸ばしても五指が見えない。
「眠いなら少し寝てもいいよ」と道明寺華が言った。「私が支えているから」
鈴木知得留は答えなかった。
その時、話す力さえ残っていなかった。
もう話したくもなかった。
体力を無駄にしたくなかった。
死にたくもなかった。
まだたくさんやり残したことがある、死ぬわけにはいかない。
彼女は何度も何度も自分に言い聞かせた。
空が少し明るくなってきたようだ。
鈴木知得留は半眼を開けたまま、夜明けの空を見つめ、そして真っ赤な太陽が水平線から昇るのを見た。