第132章 生死を分ける(5)死の淵に近づく

夜が更けていく。

鈴木知得留は半眼を閉じていた。

彼女はとても疲れていた。

海水に浸かっていると、想像以上に弱っていた。

道明寺華の体に寄りかかっていた。

瞳を上げ、星のない空を淡々と見つめていた。

おそらく、夜明け前の暗闇だろう。

手を伸ばしても五指が見えない。

「眠いなら少し寝てもいいよ」と道明寺華が言った。「私が支えているから」

鈴木知得留は答えなかった。

その時、話す力さえ残っていなかった。

もう話したくもなかった。

体力を無駄にしたくなかった。

死にたくもなかった。

まだたくさんやり残したことがある、死ぬわけにはいかない。

彼女は何度も何度も自分に言い聞かせた。

空が少し明るくなってきたようだ。

鈴木知得留は半眼を開けたまま、夜明けの空を見つめ、そして真っ赤な太陽が水平線から昇るのを見た。